2021.09.13

ICHI

【ICHI TALK】タイ人に電子書籍をどうやって受け入れてもらったのか?

タイ人に電子書籍をどうやって受け入れてもらったのか?

タイでイノベーティブな発想で新しいビジネスをスタートアップした起業家の方々をお招きして、彼らのビジネスへの熱い思いを語って頂く新しいコンテンツ「ICHI TALK」。

3回目のICHI TALKでは、タイで最初のe-Book(電子書籍)をリリースした「Ookbee」のCEOのナタウッド Pungcharoenpongさんへのインタビューです。

インタビュワーは、FM96.5のウィチャイ ワラターニーウォン氏です。

ウィチャイ:今日のICHI TALKには、Ookbee Co., Ltd.のCEOの兼共同創設者であるナタウッド Pungcharoenpongさんにお越し頂きました。

今や、タイでは「Ookbee」と言えば、e-Book (電子書籍)を指す言葉として一般的になって来ています。この会社はタイ国内で屈指のスタートアップ企業です。

さて、COVID-19で大変な状況だとお伺いしましたがいかがですか?

ナタウッドさん:COVID-19の影響により、観光などのビジネスをしている企業は問題を抱えていますね。

ウィチャイ:ナタウッドさんはコンピューターがお好きだと聞いていました。 現在のキャリアのひとつとなったコンピューターの魅力について教えてください。

ナタウッドさん:ゲームをするのが好きな子どもでした。どのように作られているのかを知りたいため、プログラミングを学び始めました。ただ遊ぶだけでなく、ゲームを作るためのプログラミングを知る事により、キャリアも進化しました。

ウィチャイ:10歳のときにコンピューター学校に通ってコーディングを学んでいたのですか?

ナタウッドさん:はい、簡単な言語を学びました。コンピューターは高額だったので、まずは学校のものを使っていました。 ある程度使えるようになったら、両親に買ってもらいました。

ウィチャイ:プログラミングは将来の自分の方向性を見つけるためだったのですか?

ナタウッドさん:はい、この分野が好きで、体系的な考え方のスキルを持って、得意な分野になるだろうと思いました。

ウィチャイ:論理的に考えると、問題を解決できるようになりますよね。

ナタウッドさん:はい、今日のビジネスにも工学的な原理として考え、使用しています。 たとえば、同じ問題が繰り返し発生したら、人員を増やす代わりに社内で使用する簡単なプログラムまたはシステムを作成します。これにより、長期的に問題を解決することができます。

ウィチャイ:大学の時、カセサート大学で航空工学、大学院でAITの産業工学とシステム工学を勉強したそうですね。当時、パイロットになることに興味があったのでしょうか。

ナタウッドさん:実は、かっこいいと思って選びました。その間、アウトソーシングプログラマーとしてアルバイトをしていました。大学で勉強することを選んだとき、すでにある程度のプログラミングのスキルがあるので、他の分野を勉強するのも面白いと思ったのです。

ウィチャイ:学士号を取得するために勉強している間は、コンピューターを組み立てるアルバイトをしましたよね。収入は良かったですか?

ナタウッドさん:以前、僕はPantipで働き、コンピューター1台あたり75バーツをもらっていました。昔のコンピューターは、部品ごとで販売されていたため、組み立てる必要がありました。 コンピューターの組み立てとWindowsのインストールは僕の担当でした。なん学期もそのアルバイトをしていましたが、その後、プログラミングの依頼が入ったため、組み立てるアルバイトをする時間があまりなくなってしまいました。

ウィチャイ:アルバイトから学んだことは、将来に役立ちましたか?

ナタウッドさん:はい、まずは自分でお金を稼ぐことです。プログラミングは需要の高いスキルです。 なぜなら、市場にはそのようなスキルを持った人はほとんどいないからです。

ウィチャイ:学士号と修士号の両方を勉強している間、会社員として働きに行こうと思ったことはありますか?卒業後、会社員として働かずに事業を始めたのはなぜですか?

ナタウッドさん:最初はみんなが知っているような有名な会社で働きたいと思っていました。友達のほとんどは海外に留学し、今のOokbeeのパートナーである友人たちもそうです。彼らはアメリカに留学し、シリコンバレーで働いてから、Ookbeeに戻ってきました。友達が学校に行くのを見ると、僕も友達のように学校に行って働きたかったです。しかし、従業員として働くより自分のビジネスを運営したいという考えがあるので、卒業した後に会社を設立し、これまで続けています。

ウィチャイ:これまで、どうやってビジネスチャンスを見つけてきたのでしょうか?

ナタウッドさん:僕がいつも心がけているのは、機会があればまずは試してみるということです。それが成功しなくても、知識と経験を得るでしょう。そして、時間があれば、新しい機会を見つけることができます。以前、IT Worksで働いたとき、モバイルフォン向けのプログラムを作成してみたところ、IT worksのプロジェクトになりました。そして、Ookbeeの会社を作って運営していますが、投資家から資金を受け取ったとき、スタートアップにどのように投資するかを研究して、500トゥクトゥクの基金を作りました。暗号通貨またはブロックチェーンのテクノロジーについてプロジェクトをシステムネットワークという会社を創りました。これらはすべて、好奇心とチャレンジから生まれたものでした。

ウィチャイ:マーケティングやアイデアを変えるだけでなく、行動が重要なのはなぜですか?

ナタウッドさん:行動しないと、何が起こるかわかりません。行動は大事なのですが、まずは始める必要があります。行動することによって経験や機会を得ることもできます。しかし、それは仕事だけではなく、行動、思考、または人生においてもそうです。最初は不安に感じるでしょう。しかし、それが習慣になると、それは私たちにとって良い習慣となります。

ウィチャイ:失敗の視点を教えていただけますか。

ナタウッドさん:失敗はビジネスの一部です。 ただし失敗するときは小さく転ぶのが大事です。

ウィチャイ:このような考え方はスタートアップの視点でしょうか?

ナタウッドさん:はい、週単位で小さな目標を設定します。そうすれば、失敗した場合、それは小さな失敗ですみます。 しかし、それが年単位または月単位のレベルの大きな目標である場合、それは失敗した時に大きな失敗となり、時間を無駄にしてしまうので、少しずつやらなければなりません。

ウィチャイ: IT Worksの時もとても大変でしたか?スタッフの給料を払うために家と車を売却しなければならないということを聞いていました。

ナタウッドさん:はい、昔はベンチャーキャピタルのようなものがなかったのです。最近のスタートアップのトレンドは、大きく成長した会社に投資家が投資するようになります。したがって、優秀であれば投資家から得られやすく、前に進めることができます。

ウィチャイ:IT Works時代から経験は、Ookbeeの創業に影響はありましたか?

ナタウッド:はい、そうですね。OokbeeはIT Worksの経験から生まれました。今日、優秀な人材を確保するのは難しいですが、僕はすでにプログラマーチームも持っています。それだけでなく、今、市場は競争が激しいため、5人から10人のチームを見つけることは非常に困難です。IT Worksでの経験を持ち、チームも強いので、ジャンプスタートができました。

ウィチャイ:Ookbeeがタイ国内市場で成功すると確信していたのはなぜですか?

ナタウッドさん:僕はKindleを読むアメリカ人を見て、タイ人にも電子書籍を読む人がいるはずだと考えました。最初に小さいサイズで試してみて、購入し始める人々が出てくると、出版社の注目を集めるようになりました。それで、その機会に会社を設立しました。

ウィチャイ:紙のメディアをタブレットで読めることを人々に理解してもらい、ユーザーになるまでたくさんの説明が必要でしたか?

ナタウッドさん:最初の数か月だけです。 これらのトレンドは早いので少し顧客が出てくると、競合他社も参入してきます。そして、僕のモデルはお金がかからず、 販売できた時に利益をシェアすることによりさらに速く成長させることができました。

ウィチャイ:タイ人にこれらのテクノロジーに興味を持ってもらい、共感してもらうブランディングはどのようにやったのでしょうか?

ナタウッドさん:まずは、価格が安い、家が散らからないなど、電子書籍のメリットを説明して理解してもらいます。電子書籍で、低価格で、多くのユーザーがいたら、口コミで広がります。パートナーシップについてはTelcoや他の会社と協業して、トレンドになるまで宣伝してビジネスを継続的に成長し続けます。

ウィチャイ:Ookbeeがタイ人に支持され、市場をASEANに拡大していくためのポイントは何ですか?

ナタウッドさん:1つ目はテクノロジーのトレンドです。Ookbeeが作られたのは、スマートフォンの開発時代でした。そのため、スマートフォンやタブレットの市場に合わせて成長してきました。多くのユーザーがいることで、市場も日常生活の一部として利用するまで成長してきました。2つ目は、今日の電子書籍は大きな市場ではないことです。テクノロジーは常に進化に応じて調整する必要があります。現在、Ookbeeにおける電子書籍事業のシェアは約10%、残りは漫画や小説になります。市場に合わせて調整する必要があります。海外への市場拡大も視野に入れています。

ウィチャイ:Ookbeeはもともと、出版社などから直接コンテンツを提供されていました。最近では、クリエイターや読者が自分でコンテンツを作成できるようになりましたよね?

ナタウッドさん:はい、読者がコンテンツを作りたい場合は、書き込みボタンを押すだけでコンテンツを作れるようになります。ライブストリーミングや録音も可能です。

ウィチャイ:Ookbeeの組織には若者がたくさんいますが、最年長の人と最年少の人の間にどのくらいの差があるのでしょうか?

ナタウッドさん:最年長者は40代の僕です。社内の平均年齢は26歳前後です。

ウィチャイ:社員たちが自分の考えを自由に発信できていますよね。

ナタウッドさん:はい、今の若者たちは僕たちより優れていることを認めなければなりません。知識に関して彼らはデジタルで育ったデジタルネイティブです。新しいトレンドをよく知っています。たとえば、Ookbeeが新しく作ったプログラムは新世代のプログラムです。僕自身はプログラミングについて知っていますが、若者のライフスタイルを知りません。したがって、彼らの意見を出す機会を与えなければなりません。

ウィチャイ:スタートアップは、誰でも成功を夢見ていると思います。Ookbeeの成功について教えてください。

ナタウッドさん:スタートアップはビジネスに応じて成長し、収益またはユーザー数を生み出さなければなりません。世界中の投資家に魅力を感じてもらい、求められるほど成長する企業にならなければなりません。ビジネスを成長させるために何ができるか、CEOはこれらの話を投資家に伝えなければなりません。

ウィチャイ:事業の構造がしっかりしていて、スタートアップから500トゥクトゥクを代表するベンチャーキャピタルに変わりましたね。雰囲気、気持ち、目標について教えてください。

ナタウッドさん:僕は自分のお金を使ってビジネスを作っていました。しかし、Ookbeeを始めたとき、VCを得ることが出来ました。Ookbeeはタイで最初にVCをもらいましたが、当時の市場の需要に対応するための開発に使用できる資本を会社に提供するのはターニングポイントであることがわかりました。モデルを理解してから、海外のVC、つまり海外の500のスタートアップに自分の貯蓄を投資してみました。彼らがそれをどのように行うかを学んで理解できるようになったら、翌年にチームと一緒にやってみました。500トゥクトゥクと呼ばれたHighnetworkというタイの投資家からの資金調達を行いました。過去5〜6年間で、85社に投資してきました。タイの大手スタートアップがすべて僕たちの基金に入っています。

ウィチャイ:投資にはリスクが伴います。 資金を投資する会社のことをきちんとリサーチしなければなりませんね。

ナタウッドさん:収入もなくて、他の会社よりも小さいスタートアップに投資するのはリスクが非常に高いです。うまくいかなかったら、売れるわけではありません。従って、適切に選択してリスクを分散する必要があります。

ウィチャイ:この2年間のパンデミックの状況にはどのように対処しましたか?

ナタウッドさん:僕のビジネスはオンライン事業なので、影響を受ける部分と受けない部分があります。僕の会社の製品のほとんどは贅沢品なので、ロックダウンが発生すると、ユーザーが増えても、不景気の状況では買い物をするときに慎重になります。購入は減少しましたが、使用時間が費やされていることがわかります。オンライン事業だけでなく、コンサートを行うFungjai という会社のオフラインのビジネスも持っています。この会社2年間収入がありません。Ookbeeの主な収入は広告費からです。しかし、不景気の今は広告が減少しています。私たちも経営計画の変更が必要です。この状況が続いているので、計画をどのように調整すればよいのかも分かってきました。

タイの観光業は強かったので、観光関連のスタートアップは時間を要します。最近は、これらの企業は、立ち止まったり、閉鎖したり、休業したりしています。観光関連のスタートアップは回復できるかどうかまだ分かりません。

ウィチャイ::厳しい状況にいるスタートアップの人たちへのアドバイスをいただけますか。

ナタウッド:今回のパンデミックは、私たちが予期していなかったことでした。しかし、自分だけではなく、誰もがこの状況下にあります。そして、この危機をチャンスに変えるための挑戦は、よい機会だと私は思います。また、家にいる時間がたっぷりあるので、知識やスキルを高めたり、体を強化したりして自分自身に投資することもできます。

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