2023.06.05

ICHI

タイのスタートアップが直面している課題

前回、「タイのスタートアップの可能性」についてご紹介をしましたので、今回は、「タイのスタートアップが直面している課題」についてご紹介したいと思います。

資金調達

タイ政府の支援により資金調達環境が整備されてきているものの、まだ多くのタイのスタートアップは資金調達に苦労しています。一部のスタートアップは、海外の投資家からの資金調達をしているものの、多くの場合、タイのベンチャーキャピタル(VC)はまだ発展途上で投資家の数が限られており、銀行からの融資を受けることも難しい場合があります。ちなみに、タイのThai Venture Capital Associationが公表した2020年のレポートによると、2020年のタイ国内VCが投資した総額は、わずか2億6,000万ドルで、タイのスタートアップへの投資のトップ5は、eCommerce、FoodTech、FinTech、HealthTech、Logisticでした。

法的環境の不確定性

タイの法的環境はまだ整備途中であり、そのためスタートアップが法的手続きを遵守することが難しく、タイのスタートアップは、ビジネスの開始、ライセンスの取得、税金の支払いなど、多くの法的・規制上の問題に直面しています。また、法的手続きが煩雑で時間がかかることがあります。政府はスタートアップを支援するためにいくつかの政策を導入していますが、まだ改善の余地があるようです。

インフラストラクチャーの整備不足

タイにはスタートアップが事業を展開するための充分なインフラストラクチャーがない地域があり、高速インターネット接続や電子決済システムが利用できない場合があります。このためタイのスタートアップが顧客との関係を構築するための基盤を作ることを困難になっています。

人材不足

タイの教育システムはまだ発展途上であり、STEM分野に特化した教育が不充分と言われています。そのため、タイのスタートアップは、適切な人材を確保することが困難であると感じている場合があります。特に、技術的なスキルを持った人材を見つけることが難しいため、スタートアップは海外から人材を採用する場合もあります。

競争の激化

タイのスタートアップ市場は、急速に拡大しています。このため、スタートアップは、新たな競合相手との競争に直面しており、市場での存在感を維持するためには、優れたビジネス戦略を策定する必要があります。競合相手との差別化を図るために、業界のリーダー企業や他のスタートアップとのパートナーシップを構築することで技術提携やマーケティング提携などの必要性も出てきてます。

ビジネス文化の違い

タイのビジネス文化は独特であり、ビジネスの進め方やビジネスパートナーとの関係性について、外国人には理解しにくい部分があります。例えば、タイはハイ・コンテキストな文化であり、文脈や背景を理解することが非常に重要です。そのため、ビジネスの交渉において、言葉の裏にある意味やニュアンスを読み取ることが必要になります。

これらの課題に対して、タイ政府や民間企業が協力して解決策を模索しているところですが、タイのスタートアップ環境は発展途上でもあり、特に資金調達面で多くのスタートアップが苦労し、海外の投資家からの投資を受けていることからも、まずはタイの投資環境を整備し、発展させていくことが求められていると感じます。

タイのスタートアップについてもっと知りたい方は、以下の「Get in touch」よりお気軽にお問い合わせください。